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癒しのイニスフリー

ああ 明日にでもいこう あの島へ
そして、あそこに小屋を建てよう
壁は泥土、屋根は草葺でいい
豆の畠は、畝を九つ、蜂蜜用の巣は一つ
その蜂たちの、羽音の中で一人暮らそう
ああ あそこなら いつかは心も安らぐだろう
安らぎは いつかは ゆっくり来るだろう

                           加島 祥造 訳

ウィリアム・イェーツ(1865-1939)はアイルランドの詩人です。
この「イニスフリーの湖島」はイェーツの抒情作品でもっともよく知られた名作であります
この詩の主題は、塵埃にまみれた大都会ロンドンにに住むイェーツが、
故郷の田園生活をしのび、 
自然の中に平和で静寂な生活に戻りたいとのあこがれを歌った物です。

そこでは心の静けさが得られるだろう、ゆっくりとした心の静けさが
          朝の帳(とばり)からこおろぎの鳴くわが小屋におりて来るから。
          そこでは夜はかそけき光に満ち、昼は華やかに光が輝き、
          夕暮れは小鳥の羽ばたきが聞こえる。


          こんどこそさあ立ち上がって帰ろう、昼となく夜となく
          湖畔に打ち寄せるあの低い波音が聞こえるから。
          こうして都会の道路に、灰色の舗装路に立つときも、
          心の奥深くあの波音が聞こえる。